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大切にしたいこと

1.どんな大人に成長してほしいか

どんな大人に成長してほしいか=「壁(困難)を乗り越える力」
 子ども達の今後の人生においては、たくさんの楽しいこととともに、数多くの困難や苦しいことに直面せざるを得ません。

 こうした時、自分でできる限りの工夫をし、臆することなく、周りの人たちと協力しながら、その壁を乗り越えていく力を伸ばしていってほしいのです。 

 とりわけ、これからの時代は、「大量の知識量で有名大学を出ればなんとかなる」、「これまでの経験と豊富な専門知識があれば安泰」という時代は徐々に終わりをつげ、「地球温暖化」や「AIの進展による混乱」など、これまで私たちが経験したことのない多くの「困難」に突き当たっていかざるをえない社会となっていくことが予想されます。

 こういったことから、幼児期における保育・教育においては、大量の知識を習得することをめざすのではなく、壁(困難)を乗り越え、問題解決を図っていく上で必要な力を伸ばしていける可能性を広げることを目指したいと、私たちは考えます。

2.「壁(困難)を乗り越える力」とは何か

この「壁(困難)を乗り越える力」とは、「生きる力」や「問題解決能力」とも近い言葉ですが、私たちはこの「壁(困難)を乗り越え力」とは、主に次の3つの力の総合力と考えています。
 ①「よし、やってやるぞ」という意志力(内発性)
 ②「こうしてみたらどうだろう」と工夫できる発想力(創造性・独創性)
 ③周りの人に「一緒にやってみたい」と思わせるような人間力(協調性)

  こういった力を蓄え、「壁(困難)を乗り越え」て進めるようになることは、自分の人生を、より充実した奥行きの深いものに変えていくこととなると信じています。

3.何故「遊び」なのか

「壁(困難)を乗り越える力」を伸ばしていくための手段として「遊び」を利用・活用するのには、二つの理由があります。
  一つには、「遊び」には、「壁を乗り越える力」である内発性・創造性・協調性(人間性)といったすべての要素が含まれているからです。 
  • 「これをやってみたい!」、「こうしたらもっと面白くなる!」、「諦めないで、もう少し頑張ってみようかな。」といった内発性 
  • 「こうしたらもっと楽しくなるかな?」、「〇〇ちゃんに勝つためにはどうしたらいいだろう」、「好きように描くお絵かきって大好き」といった創造性
  •  「二人でやったら重たい物も持ち上がるんだ」、「一緒に遊ぼ!」、「手伝って!」、「喧嘩になりながら折り合い点を発見」といった協調性(人間性)、遊びにはこれらの要素がふんだんに含まれています。

 二つ目は、幼児期の能力は、特に「夢中」、「熱中」、「のめり込み」といった心理状態の下で、大きく成長・発達することが知られていますが、「遊び」ほど「熱中」や「のめり込み」に適した活動はないからです。
 何しろ、大人でも遊びは楽しい。子どもにとっては、その何倍も楽しく、又大人より容易に「のめり込み」状態に入ります。 だから、「遊び」は最適なのです。

4.なぜ幼児期なのか

① 幼児期は可塑性に富んだ最も成長が著しい時期で、基礎的な能力を育成する適期と考えられており、成人に達してからの訓練に比べ、効果がはるかに大きいと考えられています。(適時性)
② 幼児期の教育効果は大人になっても継続することが多く、この時期での教育効率は非常に高いものと考えられています。(教育効果の持続性)

5.具体的にどんな遊び(保育)を目指すのか

①「遊び」なら、どんな遊びでもイイというわけではありません
「遊びは」手段。目的は壁を乗り越える力(内発性・創造性・協調性(人間性))を伸ばすことです。従って、この目的に沿った「遊び」である必要があります。
 具体的には、
  • 細かなルールが決まっていない遊び
  • 「ごっこ遊び」など、発展性があり、工夫の余地が大きい遊び
  • 特にゴールが定まっていなくとも十分にやり込める遊び
  • 複数者の参加があればもっと盛り上がる遊び(一人遊びの重要性を決して否定しているわけではありません。)
  • 身体、特に手足の細かい部分を動かす遊び
  • といった「遊び」が特に効果が大きいと考えています。 
②「遊び」の効果をもっと高めるため工夫として、上の遊びの内容に加え、
  • 何をしたいか、遊びを選択できる(自由遊び)
  • 異年齢間や支援を要するお子さんとの協同
  • 野外での活動 ・翌日への遊び持ち越しあり(片付けより優先します。)
  • ルール作りやけんかの仲裁は当人同士の相談、話し合いで解決
  • その他「保育者の役割はできる限り見守りに止め干渉しない」
 といった遊びの効果を高めるための取組みをしていきます。

6.もう一度、「何故遊び」なのか

これまで述べてきたことに加え、私どもが、幼児教育においては大量の知識の獲得を目指すのではなく、遊びを通じた内発性や協調性といった非認知的能力を目指すのには、もう一つ有力な根拠があります。
 1960年代のアメリカで行われたプロジェクト(ペリー就学前プロジェクト)において、幼児期に教育を受けた子どものIQは一時的には上昇したものの、一定期間経過後には幼児期に教育を受けなかった子との差は消失したことから、IQの側面ではその効果は小さいと考えられています。
 これらのことから、幼児期における保育・教育においては、大量の知識を習得することをめざすのではなく、壁(困難)を乗り越え、問題解決を図っていく上で必要な力=知識の活用の可能性を広げることが大事だと考えています。
 そのためにも、こども達には「遊びきって」ほしいのです。

7.仏教園として

 私どもの幼稚園・こども園は、親鸞上人が800年ほど前に明らかにされた浄土真宗の教えに基づく仏教園です。
 私どもの宗派である浄土真宗(真宗大谷派)は、全てのいのちは他と比べることのできない尊いいのちであるとの受けとめと、徹底した平等観がその根底にあります。
 私どもは、園生活の様々な場面をつうじて、「いのち」とふれあう中、お預かりするお子様一人一人が、平等でかけがいのない存在であることを常に念頭 に置き、どのような個性を持っていてもどのような環境に在っても、それぞれが仏さまからいただいた「いのち」をいきるものとして、その「いのち」を輝かせて生きるよう、教育・保育に努めてまいりたいと考えています。
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